身に着けるアート
椎葉さんのとんぼ玉は、本当に美しい。
玉そのものも美しいけれど、思わず手に取り当ててみたくなる。
作品集に収められたジュエリーや、玉。
今回沢山揃えてくださいました。
‘身に着ける楽しみ’を感じて頂ける展覧にしてみました。
玉そのものの中に、宇宙が宿ります。
日本の四季がぎゅっと詰まった、美しい情景。
シンプルな構図と、色彩のグラデーション。
観ていて飽きません。
帯留めになります。
ブレスレットやネックレスなどのジュエリーにも。
そして、中でも人気の高かった【赤】。
欧米の赤でもなく、日本の赤でもない、
国境と時間を超えて生まれた、古代の赤、
アンティークな魅力を表現した【赤】です。
3か月かけてやっとできた赤い色。
年齢を重ねた女性が身につけると、とても上品な華やかさを放ちます。
大人の【赤】です。
そして、憧れのお念珠。
椎葉さんのお嬢さんのお嫁入りの道具に作られたのが、きっかけだそうです。
上品でいて、静かな美しさを放つ魅力の玉。
私もひとつ手に持っておきたい作品です。
久しぶりの、椎葉さんとの再会。
そして、作品との再会。
しっとり熟成された魅力が、さらにバージョンアップして、
展覧会中、華やかな、大人の女性の気分を味あわせて頂きました。
とんぼ玉そのものに、技術を凝らし、アート性を高めた作品は沢山あります。
コレクターなら、その玉の技術の高さや表現力に魅了されます。
でも、身に着けるとなると・・・・・・
作品の個性が際立ちすぎて、手に負えない。
そんな作品も沢山あります。
椎葉さんの作品の魅力は、
観る人の心に‘想像する余白’を与えてくれるところです。
理屈もなしに、ただただ、‘美しい’と感じさせてくれる。
ジュエリーに仕立てられても、玉の存在感やアート性は失せません。
玉を引き立てる装飾、
ビーズ、紐のデザイン、チャームなどの小物の選択、
そして身に着けた時のバランス。
身に着ける人を引き立てる作品に仕上がっています。
そこに、キャリアとセンスを感じます。
女流とんぼ玉作家として先駆者的存在の椎葉さん。
作家活動に加え、様々なアートイベント・プロデューサー活動もされています。
昨年から巡回展を開催している、
東北のとんぼ玉作家の作品展。
「やっぱり、作家は、作ることそのものが‘生きること’なの。」
「ただ支援を受けるだけでなく、生きるチカラが湧いてくる
作った作品が人の手に渡って、喜んでもらえる
そして結果それが、作家の生業の助けになる
そんな人・社会との繋がりに、生きるチカラをもらうの・・・。」
椎葉さんの言葉に、
作家としての今までのスタンスから育まれた生き方を
感じました。
同じ作家だから共有できる感情。
人として、女性として、尊敬できる素敵な方です。
「自分が身に着けたい玉しかつくらない」
納得です。
今回、とんぼ玉に対してさほど期待を持たずに来られた方の多くが、
「イメージ以上、想像以上に素敵な作品だわ」
と、喜んでくださいました。
女性だけでなく、ご夫婦で見に着けられる玉を選んだり、
奥様のプレゼントに購入される方もありました。
‘玉の宇宙’
2年後の再会を約束して、会期は終了しました。
身に着けられるアート、素晴らしいです。
by gshu-gwearch8
| 2012-08-23 06:34